この記事の企画は、人間の編集会議からは出ていません。ジャムチの週次リサーチ巡回が「Microsoft が AI 変革の専門組織を立ち上げた」というニュースを拾い、証拠リンクつきの提案カードとして Slack に届け、僕がボタンを一回押したところから始まりました。今日はその仕組み自体を、一週目の失敗も含めて書きます。
毎週月曜、エージェントが編集会議を持ってきます
編集会議はありません。かわりに監視テーマの台帳があります。競合の動き、エージェント運用の技術動向、営業環境の変化、記事のネタ、僕の関心領域——この 5 つのレーンを、リサーチエージェントが毎週月曜の朝に巡回します。ライブの Web 検索と X 検索で直近 7〜10 日の動きを集め、一次ソースの URL と日付が確認できたものだけを候補として残します。
このエージェントに権限は何もありません。空っぽの使い捨ての作業場所で走り、成果はテキストの報告だけ。読めるのは世界、書けるのは報告書だけ、という分離にしてあります。
提案は週 5 件まで。今週は 44 件から 39 件を捨てました
候補は選別の段階で大きく減ります。証拠の URL がないもの、鮮度が切れたもの、そして「紹介はできるがアクションにならないもの」。今週は 44 件の候補から 5 件だけが提案として残り、39 件が捨てられました。残った提案は優先度スコアと証拠リンクつきのカードとして Slack に届き、「執筆として起票」「却下」のボタンが付いています。
上限を週 5 件に固定しているのは、たくさん出すためではなく、読まれ続けるためです。ノイズの混じったダイジェストは数週間で読まれなくなり、仕組みごと死にます。リサーチの自動化で希少なのは情報ではなく、読む側の注意のほうでした。


ボタンの先は、ぜんぶイベント駆動です
カードの「執筆として起票」を押すと、承認が記録され、執筆タスクが起票され、AI がドラフトを書き、プルリクエストの形で止まります。公開されるのは僕がマージしたときだけです。この一連に常駐サーバーはなく、動くのはイベントが起きた瞬間だけなので、維持費はほとんどかかりません。人間の仕事は「ボタンを押す」と「マージする」の二回で、どちらも数秒です。
公開の手前になぜ人間を残すのか、という設計判断は、それだけで一本になる話なので別の記事に書きました。
一週目の学び: 編集会議を消しても、編集は消えません
正直に書くと、一週目は失敗を含んでいます。最初に出てきた記事の初稿は、ニュースの紹介と自社の宣伝をつないだだけの薄いもので、founder 差し戻しになりました。原因ははっきりしていて、「ニュースがある」ことと「ジャムチが書く価値のある記事になる」ことの間に、検証がもう一段必要だったのです。
そこで、差し戻しのたびに規約を足しました。提案はニュースの紹介ではなく実行可能なアクションに変換する。外部の発表を扱うなら原文を引用し、出典を引用の直近に示す。数字は分母を原文で確認する。そして書き始める前に素材を棚卸しして、主役が「ジャムチの実物」にならない企画は着手せずに差し戻す。編集会議を自動化すると、編集者の勘は消えるのではなく、機械が検査できる規約に書き下ろされていきます。いま読んでいるこの記事が、その規約の最初の適用例です。
これは、ジャムチの商売の実演でもあります
冒頭の Microsoft の発表——25 億ドルを投じて数千人の専門家を顧客企業に埋め込む AI 変革組織——のような大きな話の対極で、ジャムチは一人法人の経営そのものを AI エージェント群で回し、その動いている実物を、スポット技術顧問・fractional CTO/AX 顧問・プロダクト化した AI 開発として提供しています。体制図ではなく実物をお見せする商売です。自社の規模に合う AI 運用の入口を探していたら、まず話を聞かせてください。
参考: Microsoft Frontier Company: AI engineering that amplifies and protects your intelligence(この仕組みが検知した提案の一次ソースの例)

